2005年、私たちはシーズンシートを買い始めて2年目だった。買ったところはSB席。でも人がたくさんいるところは苦手なので、いつもアウェー側に座っていた。せっかく買ったんだから、SB席の中でも少しでもいい場所に座りたいと思って、スタジアムにはなるべく早く着くように行ってたのだけど、いちばんS指定席寄りの2つの席には決まって同じ夫婦が座っていた。
だんなさんの方は口数が少なくて、奥さんはいつも砂川のレプリカを着ていた。私たちはそのころも今も変わらず、試合前はしまふく弁当食べてダラダラくだらないことを話して、試合中は鬼のコーチングwしてたけど、その夫婦はいつも静かに見ていた。時折だんなさんの方が、ウチが押された時に「しっかり守れよ!」って大きい声で言うくらい。奥さんの方はいつも暖かい拍手で応援していた。もちろんヤジなんて一切飛ばさなかった。私たちはいつもその席を狙っていたけど、いつしか「あの夫婦があそこに座ってるのがいいよね。他の人なら許さないけどw」って思うようになっていた。
何かきっかけがあればお話ししてみたいなと思っていたけど、何のきっかけもなく時は過ぎて早くもホーム最終戦の日が来た。私たちはその年の途中でウチに加入してくれたデルリスに、来年もいてほしいと願っていた。でもその時点で1得点だったし、何とかこの試合でいい動きをして、そして得点してほしいと思っていた。だから試合始まってからずっとデルリスばっかり応援してた。すると隣に座ってる奥さんもデルリスの動きばかり見てたみたいで、今まであんまり声を出して応援してなかったのに、いつも以上に熱を帯びて応援しているようだった。気づいたら自分たちの場所が、私たちと奥さんで「熱烈デルリス応援ゾーン」と化していたw(だんなさんはいつも通り寡黙に見てたけどw)
残念ながらこの試合でもデルリスは得点できなくて、それどころか足を痛めて途中交代してしまった。それが、私たちが見た最後のデルリス。
次の年も同じシーズンシートを買ったけど、だんなさんの方は時々見かけたが奥さんはあまり見なくなった。いつも座っていたあの席は、私たちが座るようになった。それからもデルリスのことを思い出すたび、必ずあの最終戦のことがいっしょに記憶に戻ってきた。奥さんは今でもサポなのかな。
いつも静かに応援していた人をあれだけ熱中させたのは、練習への真面目な姿勢や、監督の言うことに真摯に耳を傾けてそれに全力で努力していた姿があったからだと思う。私もずっとデルリスを忘れないよ。札幌に来てくれてありがとう。
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